飲食・食品系ビジネスマッチング事例まとめ|生産者と販売者をつなぐ新ルート

業種・カテゴリ別 ビジネスマッチング事例まとめ

ビジネスマッチングとは、商品やサービスを「売りたい人」と「買いたい人」をつなぐ仕組みのことです。飲食・食品の世界では、よい食材をつくる生産者と、それを使いたい飲食店が、お互いを見つけられないまま機会を逃しているケースが少なくありません。ここを埋めるサービスが、いま次々と生まれています。

この記事では、次の3点を整理します。

  • 飲食・食品系で使われている代表的なマッチングサービス5社の違い
  • これらのサービスが成り立っている共通の条件
  • 個人事業主や副業の人が、自分で入り込める余地はどこにあるか

ひとつだけ先に整理しておきます。同じ「生産者直送」でも、産直EC(食べチョクなどの消費者向けお取り寄せ)と、ここで扱うB2B卸マッチング(飲食店や小売への業務用取引)はまったく別物です。前者は1回数千円のギフト中心、後者は継続・大ロット・掛け払い(後払いの継続取引)が前提になります。この記事は後者、つまり「商売としての食材取引」を見ていきます。

飲食・食品系の代表的なマッチングサービス

性格の違う5つのサービスを紹介します。受発注をデジタル化するもの、自社で物流まで持つもの、純粋に取引相手を探すものなど、それぞれ役割が異なります。まずは全体像を表で見てみましょう。

サービスつなぐ相手タイプ
クロスオーダー飲食店 × 卸売業者受発注DX
八面六臂産地・市場 × 飲食店生鮮EC(物流一体型)
ミクリードメーカー・産地 × 中小飲食店少量特化の卸通販
魚ポチ漁業者・産地 × 飲食店生鮮EC(物流一体型)
BtoBプラットフォーム 商談メーカー・卸 × バイヤー純マッチング

クロスオーダー(クロスマート)

クロスオーダー(クロスマート)のトップページ

出典:クロスオーダー(クロスマート)公式サイト(https://xmart.co.jp/)

クロスオーダー(クロスマート)は、飲食店と卸売業者のあいだの受発注を、LINEを使ってデジタル化するサービスです。これまでFAXや電話が中心だった注文を、飲食店はLINEから送れて、卸側は受注・販促・決済まで一画面で管理できます。飲食店側が専用アプリを入れなくていいのが、現場に受け入れられやすい理由でしょう。

規模も大きく、2025年7月時点で利用店舗数は12万店舗を突破しています(クロスマート公式note)。運営はクロスマート株式会社(2018年設立)。料金は基本プランと有料プランがある構成ですが、詳細は公開されていません。性格としてはマッチングというより「既存取引の効率化」が主軸です。ただ、卸にとっては販路を広げる入口にもなっています。

八面六臂(はちめんろっぴ)

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出典:八面六臂公式サイト(https://hachimenroppi.com/)

八面六臂は、鮮魚や青果といった業務用食材を、産地や豊洲市場から飲食店へ直送する仕入れプラットフォームです。「料理人向けのアスクル」を掲げ、スマホやタブレットでの発注と当日配送に対応しています。豊洲市場の荷受会社や仲卸から仕入れ、産地とも直接交渉するのが特徴です。

面白いのは、配送のラストワンマイル(届け先までの最後の区間)まで自社で運用している点。「つなぐ」だけでなく「届ける」ところまで自前で担っています。このタイプは純粋なマッチングというより、自社で商流と物流を持つ生鮮EC寄りと整理するのが正確です。対象エリアは首都圏(1都3県中心)が軸になっています。

ミクリード

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出典:ミクリード公式サイト(https://www.micreed.co.jp/shop/)

ミクリードは、個人経営の飲食店や居酒屋に特化した業務用食材の通販・卸です。強みは「使い切れる量」で買えること。約4,000点の品揃えのなかに、バラ凍結や一人前パックなど少量対応の商品がそろい、1個から注文できます。

8,000円以上で送料無料、注文の翌日にお届け、受注は深夜26時まで、といった中小店に寄り添った設計も支持されています。大手向けの大ロット卸では拾いきれない「小さく頻繁に仕入れたい」というニーズを、まっすぐ拾っているわけです。運営は株式会社ミクリード。カクヤスグループの一員で、2020年に上場しています。

魚ポチ(フーディソン)

魚ポチ(フーディソン)のトップページ

出典:魚ポチ(フーディソン)公式サイト(https://foodison.jp/)

魚ポチ(フーディソン)は、飲食店向けの生鮮EC、とくに鮮魚に強いサービスです。全国の漁業者や産地と飲食店を生鮮流通でつなぎ、飲食店はアプリから鮮魚を少量・多品種で注文できます。登録飲食店数は2025年5月時点で4万店を突破しています(公式リリース)。

運営する株式会社フーディソン(2013年設立)は、2022年12月に東証グロースへ上場した企業です(証券コード7114)。八面六臂と同じく、自社で生鮮流通の仕組みを持つ「物流一体型」のタイプにあたります。鮮度が命の鮮魚を、産地から飲食店まで確実に届ける。この仕組みを自社で持てるかどうかが、このジャンルの参入障壁でもあります。

BtoBプラットフォーム 商談(インフォマート)

BtoBプラットフォーム 商談(インフォマート)のトップページ

出典:BtoBプラットフォーム 商談(インフォマート)公式サイト(https://foodsinfomart.com/)

BtoBプラットフォーム 商談(インフォマート)は、食品を「売りたい企業」と「買いたい企業」を直接つなぐ、純粋なマッチング型の代表例です。食材メーカーや各種卸(水産・青果・精肉・加工品)と、外食や小売のバイヤーを結びます。食材検索や食材募集、Web商談、Web展示会、決済代行まで、新しい取引先を見つけるための機能が一通りそろっています。

「商談」サービスは2023年9月時点で1万社以上が利用。母体であるインフォマートのBtoBプラットフォーム全体では、2023年11月時点で利用企業数100万社超、流通金額38兆円超という規模になっています(公式リリース)。前の4社が自社で食材や物流を抱えるのに対し、ここは「場」を提供して企業同士をつなぐ、線引きのはっきりした純マッチング型です。料金は機能に応じた有料プランが中心です。

なお、生産者と飲食店のあいだに人が介在する形もあります。産直EC「食べチョク」のB2B版である食べチョクProは、コンシェルジュが飲食店の要望を聞いて条件に合う農家を提案・買い付けする仕組みで、「人が目利きする産直B2B」の一例として知っておくと視野が広がります。

これらに共通する成立条件

5社はタイプこそ違いますが、成り立っている理由には共通点があります。ひとつは、生鮮ならではの「鮮度とロットのズレ」です。産地は多品種を少しずつ、飲食店も少量を頻繁に必要とします。既存の市場流通では拾いにくいこの溝を、デジタルが埋めています。

もうひとつは物流の担保です。食品は「つなぐ」だけでは完結せず、鮮度を保ったまま「届ける」必要があります。八面六臂や魚ポチが自社物流を持つのは、ここが弱いと話にならないからです。さらにB2Bは継続取引と掛け払いが前提のため、与信(取引相手の支払い能力を見極めること)や決済代行の仕組みが、参入の壁にも価値にもなっています。

正直、この3つの条件を個人が全部そろえるのは難しいところです。だからこそ、個人が入る余地は「大手が担保できていないところ」に絞られてきます。

個人が入り込める余地

「大手がここまでやっているなら、個人の出る幕はないのでは」と感じたかもしれません。ですが、大きなプラットフォームほど「狭くて深い」領域は拾いきれないものです。

たとえば、希少品種の野菜やクラフト調味料、ジビエ、国産スパイスといった特定食材の専門コーディネート。あるいは地域内の生産者と飲食店を地元単位でつなぐ地域密着型なら、物流距離が短く一人でも回しやすいです。最初の一歩としては、地元の道の駅や農産物直売所で「ロット単位では売れ残る」食材を探し、近隣の飲食店に「定期的に取りに来る」と声をかけるだけで関係は始まります。さらに踏み込めば、生産者と飲食店の間に立ってメニュー開発やストーリー発信まで担う「目利き+編集者」型のコーディネートもあります。手数料やコンサルの形で、個人が価値を出しやすい立ち位置です。

こうした「自分でマッチングの場をつくる」一歩を踏み出すとき、土台となる仕組みをどう用意するかは悩みどころです。会員管理や出品、検索、メッセージといった機能を自前でそろえる選択肢のひとつとして、WordPressでマッチングサイトを構築できるMatchLayerのようなツールもあります。小さく始めて検証したい個人には、相性のよいアプローチです。

まとめ

飲食・食品系のマッチングは、受発注をデジタル化するクロスオーダー、自社物流で生鮮を届ける八面六臂や魚ポチ、少量に特化したミクリード、企業同士を純粋につなぐインフォマートと、役割の違うプレーヤーがそろっています。共通しているのは、鮮度とロットのズレを埋めて、物流や与信まで担保できているから成り立っているという点です。

大手が拾いきれない「狭くて深い」領域には、個人が入り込む余地が残っています。まずは、自分の身近にある食材や地域を一つ思い浮かべて、「誰と誰をつなげば喜ばれるか」を書き出してみてください。そこが、あなたのマッチングの出発点になるはずです。

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