地域・地方創生系ビジネスマッチング事例まとめ|都市と地方をつなぐ仲介モデル
地域・地方創生系のマッチングサービスとは、都市にいる人のスキルや労働力と、人手や専門人材が足りない地方をつなぐ仕組みです。なぜ今この領域が広がっているのかは後述しますが、政策と社会変化が重なった結果、個人や小チームがこの市場に独自のプラットフォームを立ち上げて参入できる環境が整ってきました。
この記事では、以下の3点を整理します。
- 地域・地方創生系の代表的なマッチングサービス5社の仕組みと収益モデルの違い
- なぜ今、都市と地方をつなぐ仲介モデルが成立しているのか
- 個人事業主や小チームが、地域・地方創生系のマッチングを自分で運営するときの設計の切り口と参入余地
まずは、性格の異なる5つのサービスを順番に見ていきましょう。
地域・地方創生系の代表的なマッチングサービス
ひと口に地方創生系のマッチングといっても、間口の広さもスキル要求度もかなり違います。「とりあえず地域に関わってみたい」のか「自分の専門スキルを活かしたい」のかで、相性のよいサービスは変わります。代表的な5社をそれぞれ見ていきましょう。
SMOUT(スマウト)

出典:SMOUT(スマウト)公式サイト(https://smout.jp/)
SMOUT(スマウト)は、地域に関わりたい人と地域(自治体や地域事業者)をつなぐ、移住・関係人口づくりの入口プラットフォームです。仕事に限らず「働く・暮らす・体験する」の3軸をカバーしており、5社のなかで最も間口が広いサービスです。
仕組みとしては、地域側が興味を持った人を「スカウト」できる逆求人型です。プロフィールを登録しておけば、地域のほうから声がかかることもあります。2025年4月にリブランディングし、自分で「検索する」サイトから地域と「偶然出会う」サイトへ刷新されました。
運営は面白法人カヤック(株式会社カヤック、東証グロース上場)で、サービス開始は2018年6月。2025年4月時点で登録ユーザーは約7万人、1,111地域で利用されています(出典:カヤック プレスリリース2025年4月)。ユーザー登録や基本機能は無料で、地域側が掲載費用を負担する構造です。
JOINS(ジョインズ)

出典:JOINS(ジョインズ)公式サイト(https://joins.co.jp/)
JOINS(ジョインズ)は、地方の中小企業と都市部のスキル人材を、副業・兼業かつリモート前提でつなぐ人材マッチングです。SMOUTが「まず関わる」入口なら、JOINSは「専門スキルを提供する」側に寄っています。ITや企画系のスキルを持つ人が主役です。
働き方はフルリモート、月20時間・週3日などかなり柔軟に設計されています。登録後にキャリア面談があり、企業が求める人材像に沿って紹介してもらえるので、いきなり自分で案件を探す必要はありません。1案件あたり月30時間程度が目安で、都市で働きながら地方の仕事に関われる点が魅力です。
運営はJOINS株式会社で、2017年6月に長野県でのパイロットとして発足しました(出典:ASCII STARTUP)。企業側が紹介料を支払う構造ですが、金額の細かい条件は変わることもあるため、利用前に公式で最新情報を確認してください。
Skill Shift(スキルシフト)

出典:Skill Shift(スキルシフト)公式サイト(https://www.skill-shift.com/)
Skill Shift(スキルシフト)は、「副業で地域貢献」を前面に打ち出した、地方企業と都市部の副業プロ人材のマッチングです。JOINSと近い領域ですが、新商品開発・マーケティング・販路開拓・業務改善といった企画戦略系の案件が中心で、「地域に貢献したい」という動機を軸にしている点が個性です。
45都道府県で副業人材を募集しており(出典:JILPT 2022年)、地域の幅広さも魅力のひとつです。2022年9月時点で登録プロ人材数が1万人を突破しました(出典:みらいワークス プレスリリース。数字は2022年時点)。
運営は株式会社スキルシフト。上場企業である株式会社みらいワークスと株式会社groovesの合弁で、上場企業系列という背景から、初めて地方副業に挑戦する人でも使いやすい安心感があります。料金体系の詳細は公式サイトで確認してください。
ふるさと副業(サンカク)

出典:ふるさと副業(サンカク)公式サイト(https://sankak.jp/fukugyo)
ふるさと副業(サンカク)は、リクルートが運営する副業・兼業サービス「サンカク」のなかの取り組みで、都市部で働くビジネスパーソンと地方企業をつなぎます。「ふるさと(地方)×副業」という分かりやすいコンセプトと、大手ならではの知名度が強みです。
政府の副業促進の流れを受けて2021年に本格展開し、2023年7月に大幅リニューアルされました。「サンカク」全体では2022年4月時点で登録ユーザーが累計7.7万人、利用企業が延べ約475社にのぼります(出典:リクルート。数字は2022年時点)。
なお、名前のよく似た「ふるさと兼業」(NPO法人G-net運営)とは別のサービスです。検索するときに取り違えやすいので、運営元で見分けると確実です。
おてつたび

出典:おてつたび公式サイト(https://otetsutabi.com/)
おてつたびは、「お手伝い+旅」を組み合わせて、地域の短期・季節的な人手不足を埋めるサービスです。専門スキルがなくても参加できるため、5社のなかで最も参入ハードルが低く、まず地域に関わってみたい人向けです。
つなぐ相手は、繁忙期に人手が足りない地域事業者(農家・旅館・酒蔵など)と、働きながら旅をしたい人です。報酬を得ながら旅先で働く「旅バイト」型で、募集のおよそ4割が宿泊業、4割が農業など一次産業、残りが酒造や寺社などです。冬の雪かきやふるさと納税の返礼品ピーク時など、季節需要にも対応しています。
運営は株式会社おてつたび(東京都渋谷区)。全国2,000以上の受入事業者、登録ユーザー約8.5万人と着実に広がっています(2025年9月時点。出典:おてつたび プレスリリース/J-Net21)。
これらに共通する成立条件
なぜ今、これだけ多くのサービスが都市と地方をつなげているのでしょうか。背景には大きく3つの条件があります。
ひとつは「関係人口」の政策化です。政府は地方創生2.0基本構想(2025〜2034年度)で、地域に多様に関わる関係人口を1000万人創出する目標を掲げ、住所地以外の地域に継続的に関わる人を登録する「ふるさと住民登録制度」も打ち出しました(出典:内閣官房/日経)。地域との関わりが制度として後押しされているわけです。
ふたつめは副業解禁とリモートワークの定着です。政府が2018年に副業・兼業を促進する方針を示し、リモートが当たり前になったことで、「都市にいながら地方の仕事に関わる」ことが現実的になりました。
そして3つめが、地方の構造的な人材不足です。地方の中小企業は企画・マーケ・ITといった専門人材が慢性的に不足しており、フルタイムの正社員採用は難しくても副業や短期なら受け入れられます。この需要と供給がかみ合い、マッチングモデルが機能しています。
個人が入り込める余地
個人事業主や小チームが独自のマッチングを立ち上げる余地は残っています。5社はいずれも全国対応の総合型か特定テーマ型として設計されており、超ニッチな領域や特定の地域密着の需要は拾いきれていません。
一次産業・空き家・伝統産業など、地域と特定テーマに絞った独自のマッチング掲示板なら、大手が拾いきれない細かいニーズを個人でも狙えます。SMOUTが「地域全般」の入口を担っているように、「この業種だけ」「この地域だけ」という切り方は、小さなプレーヤーが差別化しやすい方向性です。
MatchLayerのようなツールを使えば、会員管理・掲載・検索・メッセージといった必要機能が標準でそろい、1人でも運営しやすい構成になっています。
まとめ
5つのサービスは性格がはっきり分かれています。SMOUTのように間口広く地域と出会えるものから、JOINSやSkill Shiftのように専門スキルを活かすもの、大手の安心感があるふるさと副業、スキル不問で飛び込めるおてつたびまで、選択肢の幅はかなり広いです。
この仲介モデルを支えているのは、関係人口政策・副業解禁・地方の構造的な人材不足という3つの条件が重なったこと。この構造を踏まえると、自分でプラットフォームを立ち上げる側として参入できる余地がある領域です。
自分で地域・地方創生系のマッチングを立ち上げる場合、5社のどれを参考モデルにするかで、つなぐ相手と収益源が変わります。SMOUTのような掲載課金型(地域側が費用負担)か、JOINSのような成功報酬型(企業が紹介料を払う)か、おてつたびのような繁忙期特化型か。まず「誰と誰をつなぐ場を作るか」を一行で書き出してみてください。特定ニッチで独自のマッチングを立ち上げたい方は、MatchLayerも参考にしてみてください。