IT・SaaS系ビジネスマッチング事例まとめ|技術と案件をつなぐ市場の実態

業種・カテゴリ別 ビジネスマッチング事例まとめ

ビジネスマッチングとは、仕事を発注したい人と受注したい人を、サービスが仲立ちして引き合わせる仕組みのことです。とくにITやSaaSの領域では、エンジニアやWeb人材が足りない一方で案件はあふれていて、「つなぐ」需要がなかなか枯れません。経済産業省の調査では、2030年に最大約79万人のIT人材が不足すると試算されています(2019年公表)。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • IT・SaaS分野で実際に使われている代表的なマッチングサービス4つの中身
  • なぜIT業界でマッチングがこれほど成立しているのか、その構造
  • 大手の隙間で個人や小規模事業者が入り込める余地はどこにあるのか

まずは実在するサービスを覗いてみましょう。タイプの違う4つを並べると、市場の実態が見えてきます。

IT・SaaS系の代表的なマッチングサービス4事例

ひと口に「マッチング」と言っても、誰と誰を、どうやってつなぐかはサービスごとに違います。ここでは性質の異なる4つを取り上げます。

クラウドワークス

クラウドワークスのトップページ

出典:クラウドワークス公式サイト(https://crowdworks.jp/)

まず紹介したいのが、国内最大級のクラウドソーシング(ネット上で不特定多数に仕事を発注する仕組み)であるクラウドワークスです。仕事を発注したい企業や個人と、受注したい個人ワーカーを、システム上で機械的に引き合わせます。

特徴は、なんといっても間口の広さ。ライティングやデータ入力からシステム開発まで職種が幅広く、後発ながら先発のランサーズを抜いてトップシェアに立ちました。副業の入口として、まず名前が挙がるサービスです。

仕組みはシンプルで、報酬を受け取るワーカー側にシステム手数料がかかります。料率は報酬額に応じて5%〜20%とされ、金額が小さいほど高めです。発注者側は無料寄りで、プラットフォームがワーカーから手数料を得るモデルになっています。累計登録ワーカー数は約672.2万人にのぼり(2024年9月末時点)、運営会社は東証グロースに上場しています。

レバテックフリーランス

レバテックフリーランスのトップページ

出典:レバテックフリーランス公式サイト(https://freelance.levtech.jp/)

次は、人が間に入って仲介するタイプの代表格、レバテックフリーランスです。フリーランスのエンジニアやクリエイターと、クライアント企業をつなぎますが、間にエージェント(担当者)が入って両者をすり合わせる点がクラウドワークスとの大きな違いになります。

IT・Web領域に特化していて、余計な会社が挟まらないエンド直案件(発注元から直接受ける案件)が多いため、単価が高めなのが魅力です。担当者がスキルと案件を細かく調整してくれるので、自分で探し回る手間が省けます。平均年収は800万円台後半と紹介されることが多いものの、媒体によって数値に幅があるので、あくまで目安と考えてください。

リモート参画率91%、契約更新率92.3%(2024年6月時点)という数字が、案件の質と継続性をよく表しています。運営はレバテックで、レバレジーズが2017年8月にIT人材事業を分社化して生まれた会社です。

Workship

Workshipのトップページ

出典:Workship公式サイト(https://goworkship.com/)

副業希望の方にいちばん近いのが、複業・副業に特化したWorkshipです。副業・フリーランス人材と企業をつなぎ、クラウドソーシングとエージェントの両方の機能を併せ持つハイブリッド型として設計されています。

クライアントが企業に絞られているぶん単価が高めで、なにより「週1日」「土日OK」「フルリモート」といった案件の比率が高いのが特徴です。本業を持ちながら関わりたい方には、ちょうどよい身軽さですよね。職種は全18種で、IT関連が中心になっています。

手数料は非公開ですが、賠償責任保険などの付帯サービスが用意されています。登録企業は1,600社以上(GIG公式発表)で、運営は株式会社GIGです。

発注ナビ

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出典:発注ナビ公式サイト(https://hnavi.co.jp/)

最後の発注ナビは、これまでの3つとは少し毛色が違います。個人ワーカーではなく、システム開発やWeb制作を外注したい発注者と、開発・制作会社をつなぐB2B(企業間取引)のマッチングだからです。コンシェルジュが電話でヒアリングし、平均4社を厳選して紹介してくれます。

面白いのは収益の仕組みです。ほかの3社が受注側から手数料を取るのに対し、発注ナビは登録している開発会社からの広告費(加盟料)で運営していて、発注者は相談から紹介まで無料。一人社長や小規模事業者にとっては、受注側として案件を取ることも、発注側として外注先を探すことも両方できる、二面で関係するサービスです。加盟する開発会社は7,000社を突破しています(2025年5月、アイティメディア発表)。運営は発注ナビで、東証プライム上場のアイティメディアの完全子会社です。

補足:海外の事例

海外に目を向けると、フリーランス向けプラットフォームの世界最大手Upworkがあります。世界中のフリーランスとクライアントをつなぎ、クライアント数は約855,000にのぼります(2024年)。2025年には手数料の体系を変更しました。ただし基本は英語でのやり取りになるので、日本から参入するにはハードルがある点も押さえておきましょう。

これらに共通する成立条件

タイプはバラバラなのに、なぜどのサービスも成り立っているのでしょうか。共通する土台は、「需給ギャップ」と「情報非対称」のふたつで説明できます。

ひとつめは、構造的な人手不足です。先ほど触れたとおり、2030年に最大約79万人のIT人材が不足するとも見込まれていて、発注側は常に人材や外注先を探しています。マッチングの需要が枯れない理由はここにあります。

ふたつめは情報非対称、つまり持っている情報の差です。発注者は「どの会社や人に頼めば要件を満たせるか」が分からず、受注者は「自分に合う案件がどこにあるか」が分からない。この探す手間と見極めの難しさを肩代わりするのが、各サービスの本質です。クラウドワークスやUpworkは機械的に、レバテックや発注ナビは人が介在して、この差を埋めています。

もうひとつ付け加えると、人材の質的な二極化も進んでいます。AIなど先端技術の人材は奪い合いになる一方、従来型の需要は先細る。「数」だけでなく「どの技術か」のミスマッチが起きているからこそ、うまくすり合わせるマッチングの価値が高まっているわけです。

個人が入り込める余地

ここまで大手を見てきて、「規模で勝てないなら個人には無理では」と感じたかもしれません。でも、じつは逆です。大手がカバーしきれない隙間にこそ、個人や小規模の余地があります。

実例を挙げると、SAP(大企業向けの基幹システム)に特化したエージェントや、AI・データサイエンスに特化した専門サービスが成立しています。COBOLやVBといった古い技術を扱うサービスもあって、希少なスキルと安定したニーズの隙間をきれいに埋めています。大手は職種を広く扱うぶん、こうした深い専門領域の評価はどうしても手薄になりがちなんですね。

特化型が強いのは、その業界や技術を熟知した人が、貢献度を正しく見極めて適正な単価で結べるからです。ここは大資本よりも「目利き」がものを言う領域なので、小規模でも十分に戦えます。自分の得意分野で「どの層とどの層をつなげるか」を考えると、入り口が見えてきます。こうした特定領域でつなぐ仕組みづくりを後押しするツールとして、当サイトを運営するMatchLayerのようなマッチングプラットフォーム構築サービスもあります。興味があれば覗いてみてください。

まとめ

IT・SaaSの領域では、間口の広いクラウドワークス、人が仲介する高単価のレバテックフリーランス、副業向きのWorkship、B2Bの発注ナビと、つなぐ対象の違う多層的な市場ができあがっています。共通するのは、深刻な人手不足と情報非対称を肩代わりしている点です。そして大手の隙間には、専門特化という個人にも開かれた余地が残っています。

まずは自分の専門領域で「どんな人と、どんな人をつなげるか」を一度書き出してみてください。市場の構造が、ぐっと自分ごととして見えてくるはずです。

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