WordPressでBtoBの協業・外注マッチングサイトを作る方法|会員限定公開とNDA前提の問い合わせフロー
「会員企業どうしをつなぐ場がほしい」という相談は、商工会や業界団体、自治体の産業支援担当からよく出てきます。加工を頼める工場を探している会社があり、隣の市には稼働に余裕のある工場があります。どちらも同じ地域にいるのに、名簿と紹介だけでは出会えていません。その状態をなんとかしたい、という話です。
ただ、BtoBのマッチングサイトは、一般消費者向けのサービスと同じ作りにはできません。誰でも見られる場所に取引先の情報を並べるわけにはいきませんし、条件のすり合わせも「まず問い合わせてみる」では済まないことがあります。この記事では、会員限定で運用するBtoBマッチングサイト「BizConnect」をWordPressで構築しながら、そのあたりの設計をひとつずつ決めていきます。
なお、本記事で使用している画面キャプチャは2026年7月時点のものです。
この記事を読むと、次のことがわかります。
- BtoBの協業・外注マッチングサイトに必要な機能を整理できます
- 一般消費者向けのマッチングサイトとどこを変えるべきかがわかります
- MatchLayerを使って会員限定のマッチングサイトを構築する手順を追えます
BtoBの協業・外注マッチングサイトに必要な機能
まず、このタイプのサービスに求められる機能を整理します。個人向けのサービスと大きく違うのは、情報を「誰に見せるか」を最初に決めるところから始まる点です。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 企業登録・プロフィール | 会社名・設立年・従業員数・所在地・取引実績を企業自身が登録できる |
| サービス・提案の掲載 | 「精密切削加工の受託」など、提供できる内容を掲載できる |
| 業種カテゴリでの検索 | 製造・IT・デザインといった分野で絞り込める |
| 対応エリアでの絞り込み | 全国対応かエリア限定かで探せる |
| NDA対応の可否 | 守秘義務契約を結べるかどうかを掲載し、条件として絞り込める |
| 会員限定公開 | 未ログインのユーザーには一覧も詳細も見せない |
| 承認を挟む問い合わせ | 問い合わせを受けた側が承認してからやり取りを始められる |
| 取引規模・納期の明示 | 最小受注規模と納期の目安を掲載できる |
| お気に入り機能 | 候補企業を保存して比較できる |
| 会員登録フォーム | 受注企業側・発注企業側でロールを分けて登録できる |
WordPressで実現する方法(選択肢を比較)
WordPressでBtoBマッチングサイトを作る際の選択肢は大きく3つあります。
会員制プラグイン+投稿機能で作る方法
MemberPressやRestrict Contentといった会員制プラグインを使うと、コンテンツのアクセス制限はかんたんに実現できます。ただし企業が自分でサービスを掲載し、問い合わせを受けて承認するというマッチングの流れは、別途フォームや通知の仕組みを組み合わせて作ることになります。
汎用フォーム・ディレクトリプラグインをベースにする方法
Gravity FormsやBusiness Directoryといったプラグインは柔軟性が高く、企業の登録フォームや一覧表示を独自に設計できます。ただし「マッチング」の概念(問い合わせ・承認・メッセージのやり取り)はゼロから実装することになり、開発コストがかかります。
マッチング特化プラグインを使う方法
MatchLayerはマッチングサイトに特化したWordPressプラグインで、リスティング管理・問い合わせと承認・メッセージ・カスタムフィールド・アクセス制限などの機能を最初から持っています。「人のマッチング」プリセットを選ぶだけで、受注企業と発注企業の分離登録に対応した土台が整います。コーディングなしで動くサイトを短期間で立ち上げたい場合に向いています。
MatchLayerでBizConnectを構築する手順
ここからは実際の構築手順を追います。今回作るデモサイト「BizConnect」は、会員登録した企業だけが閲覧できる受発注マッチングサイトです。分野・対応エリア・NDA対応の可否で相手を探し、問い合わせを受けた企業が承認してからメッセージのやり取りを始める流れになっています。
ステップ1:サイトジャンルに「人のマッチング」を選ぶ
MatchLayerをインストールしたら、最初にサイトジャンル設定からプリセットを選びます。管理画面の「サイトジャンル設定」にアクセスし、「人のマッチング」を選んで適用します。

企業どうしのマッチングですが、構造としては「サービスを提供する側」と「依頼する側」に分かれるので、人のマッチングが土台になります。このプリセットは、メッセージが成立後のみ、重複申込みが不可、カレンダーがオフという組み合わせで設定が入るため、今回のようなBtoBのマッチングでは使いやすい組み合わせとなります。
ステップ2:一般設定で呼称と機能を決める
「一般設定」→「サイト全体」タブを開きます。呼称は管理画面のメニュー名にも反映されるので、あとの手順で表示が変わる前に済ませておきます。
- リスティング呼称を「サービス・提案」に変更します(プリセット適用直後は「案件」になっています)
- ユーザーモードは「分離モード(提供者/利用者)」のままにします(受注企業と発注企業は役割が異なるためです)
- レビュー機能のチェックを外してオフにします
- 都道府県機能を有効にします(企業の所在地で絞り込めるようになります)

レビューをオフにしたのは、BtoBでは公開の評価が取引関係に影響しやすいからです。「取引したが評価は書きたくない」「低い評価をつけたことが相手に伝わると次の商談がしづらい」といった事情があり、星の数による評価が機能しにくい場面があります。掲載企業が萎縮するくらいなら、最初から置かないという判断もあります。
ステップ3:一覧と詳細を会員限定にする
このサイトの肝になる設定です。「一般設定」→「入口(公開・登録)」タブを開き、案件閲覧権限を「ログインユーザーのみ(一覧・詳細ともにログイン必須)」に変更します。

選択肢は3つあります。「全員に公開」は誰でも見られる状態で、「詳細はログインユーザーのみ」は一覧までは公開して詳細で止める形、「ログインユーザーのみ」は一覧の時点でログインを求める形です。
会員企業だけの場にしたいなら3つ目を選びます。「どんな企業が登録しているか」自体を外部に見せたくないケースが多いためです。逆に、外部からの新規登録を増やしたいなら2つ目にして、一覧までは見せておくという選び方もあります。
なお、この設定はログインしていないアクセスに対して閲覧を制限する機能です。会員として登録した相手には情報が見える状態になるので、掲載する情報の範囲は運営ルールとあわせて考えることになります。
ステップ4:マッチングの条件を確認する
「マッチング」タブに移ります。BtoBでは、ここは変更せずプリセットの初期値のまま使います。
- メッセージ送信タイミングは「成立後のみ」のままにします
- 重複申込みは「許可しない」のままにします
- カレンダー・予約機能はオフのままにします

メッセージを「成立後のみ」にしておくと、問い合わせを受けた企業が承認するまでメッセージのやり取りが始まりません。図面や仕様、取引条件といった情報を、相手を確認しないうちに送ってしまう状況を避けられます。守秘義務契約を結んでから具体的な話に入る、という商習慣とも噛み合います。
重複申込みを「許可しない」のままにしたのは、同じ提案に何度も問い合わせが飛ぶのを防ぐためです。個人向けのサービスでは「毎週予約したい」といった正当な理由で再申込みが必要になりますが、BtoBの引き合いでは1件につき1回で足ります。
ステップ5:業種のカテゴリを階層で設定する
「カテゴリ設定」メニューから、カテゴリを追加します。今回は分野を親カテゴリ、具体的な業務を子カテゴリにした階層構成にしました。
- 製造・加工(金属加工・部品製造/樹脂・プラスチック加工/食品加工・OEM)
- IT・デジタル(Webサイト制作・リニューアル/システム・アプリ開発/DX支援・業務改善)
- デザイン・クリエイティブ(ブランディング・CI/販促物・パッケージデザイン)
- 販売・流通(国内販売代理/輸出入・貿易支援)
- 経営支援(経営コンサルティング/財務・資金調達支援/人事・採用支援)

発注側は「金属加工を頼みたい」と具体的に決まっている場合もあれば、「製造まわりで相談できる先を探している」という段階のこともあります。親子で持たせておくと、どちらの入り方にも対応できます。
ステップ6:カスタムフィールドを追加する
「登録フォーム設定」からプロフィール用・サービス用のカスタムフィールドを追加します。
受注企業(提供者)のプロフィール用に、次の6項目を設定しました。
- 会社名(テキスト/必須)
- 設立年(テキスト/必須)
- 従業員数(セレクトボックス:1〜5名〜100名以上/必須)
- 事業所在地(都道府県)(テキスト/必須)
- 主な取引実績(テキストエリア)
- 保有資格・認証(テキスト)
発注企業(利用者)側には「貴社名」「業種」「貴社の従業員数」を設定しました。

BtoBでは、相手が「どのくらいの規模の会社か」が判断材料になります。従業員5名の会社と100名の会社では、対応できる案件の大きさも進め方も違うためです。設立年と保有資格・認証を並べておくと、はじめて名前を見る企業でも見当がつきます。
続いて「サービス・提案用」タブに切り替えて、掲載内容ごとのフィールドを追加します。
- サービス内容の詳細(テキストエリア/必須)
- 対応可能エリア(セレクトボックス:全国(リモート可)〜要相談/必須)
- 最小受注規模の目安(テキスト)
- 納期の目安(テキスト)
- NDA・守秘義務対応(セレクトボックス:NDA締結可・要相談・対応不可/必須)
- 案件対応の注意事項(テキストエリア)

「対応可能エリア」と「NDA・守秘義務対応」は検索対象に設定しました。検索対象にしたフィールドは、一覧ページの絞り込み条件として自動的に表示されます。
NDA対応の可否を最初から掲載してもらうと、発注側は「そもそも話ができる相手か」を問い合わせる前に判断できます。守秘義務を結べない相手に図面の話を持ちかけても進まないので、この1項目があるだけで無駄なやり取りが減ります。
「最小受注規模の目安」も同じ狙いです。金額を書く欄ではありますが、「50万円以上の案件から」のように下限の目安を示しておくと、規模の合わない引き合いが減ります。
ステップ7:トップページのテキストを設定する
「トップページ設定」でブランドカラーとヒーロー画像、それに各セクションのテキストを設定します。

プリセットを適用した直後は「プロと出会う、案件と出会う。」といった汎用的な文言が入っています。ここを「取引先を探す」「問い合わせる」「商談スタート」のように書き換えます。
ステップ2でレビューをオフにしているので、トップページの口コミセクションも非表示にしておきます。
ステップ8:受注企業のサービス・提案を登録する
設定が完了したら、受注企業のアカウントで掲載内容を登録します。「サービス・提案を掲載する」リンクから登録フォームにアクセスします。

登録した内容は、マイページの「サービス・提案管理」タブで一覧できます。

完成したデモサイトの確認
すべての設定が終わったトップページがこちらです。

トップページは未ログインでも見られます。どんなサイトかを伝えて登録につなげるためです。ただし、ここから一覧に進もうとすると止まります。

提案のタイトルも企業名も表示されません。ステップ3で「ログインユーザーのみ」を選んだ結果です。
ログインすると、同じページが一覧として表示されます。

絞り込みに「対応可能エリア」と「NDA・守秘義務対応」が並んでいます。「関東で、NDA締結可の企業」という条件で候補を絞れます。
各提案の詳細ページには、説明文の下にカスタムフィールドの内容が並びます。

下部の「マッチング申込み」から問い合わせます。ここで送れるのは最初のメッセージだけで、以降のやり取りは相手企業が承認してから始まります。承認を挟むことで、掲載側が相手を確認したうえで話を進められます。
企業名をクリックすると、プロフィールページに移動します。

提案の詳細が「何ができるか」だとすると、こちらは「どんな会社か」です。取引実績や認証が読めることで、はじめて名前を見る企業でも判断材料が増えます。
会員登録フォームでは、受注企業として登録するか、発注企業として登録するかを選べます。

よくある質問
Q. 未ログインのユーザーには本当に案件は見えませんか?
案件閲覧権限を「ログインユーザーのみ」にすると、一覧ページも詳細ページもログインを求める画面に切り替わり、掲載内容は表示されません。ただしトップページや固定ページは通常どおり公開されるので、サイトの説明や運営者情報は誰でも読めます。
Q. 会員登録を誰でもできる状態にしたくありません。
一般設定で提供者・利用者の承認モードを「管理者承認が必要」に変更すると、運営者が承認した企業だけが利用できるようになります。商工会や業界団体のように会員資格が決まっている場合は、この設定と組み合わせることになります。
Q. NDAの締結そのものをサイト上でできますか?
MatchLayerに電子契約の機能はありません。この記事の設計では「NDA・守秘義務対応」を掲載項目として持たせ、締結できるかどうかを事前に示すところまでを担当しています。契約の締結自体は、外部の電子契約サービスや従来どおりの書面でのやり取りになります。
Q. なぜレビュー機能をオフにするのですか?
BtoBでは、公開の評価が取引関係に影響することがあるためです。発注側が率直な評価を書きにくく、受注側も評価がつくことを警戒して掲載をためらう、という状況が起こりえます。運営方針として評価を集めたい場合は、オンのまま使っても問題ありません。
Q. 決済機能はありますか?
MatchLayer単体では決済機能を持っていません。代金のやり取りはサービス外で行うか、外部の決済サービスを別途併用する形になります。BtoBでは支払条件そのものが交渉事項になることが多いので、プラットフォームで決済まで完結させない設計のほうが実態に合う場面もあります。
まとめ
WordPressでBtoBの協業・外注マッチングサイトを作るときは、機能を足すことよりも「どこまで見せるか」「いつからやり取りできるか」を先に決めることが設計の中心になります。MatchLayerであれば「人のマッチング」プリセットを起点に、コーディングなしでこれらを設定できます。
今回のデモサイト「BizConnect」で設定した内容を整理します。
- サイトジャンルは「人のマッチング」プリセットを適用します
- リスティング呼称を「サービス・提案」に変更します
- 案件閲覧権限を「ログインユーザーのみ」にして、一覧も詳細も会員限定にします
- レビュー機能をオフにし、トップページの口コミセクションも非表示にします
- メッセージ送信タイミングは「成立後のみ」のままにします(承認前のやり取りを避けるためです)
- 重複申込みは「許可しない」のままにします(同じ提案への重複した引き合いを防ぐためです)
- カレンダー機能はオフのままにします(日程調整はメッセージで行うためです)
- カテゴリは分野を親、具体的な業務を子にした階層構成にします(5親カテゴリ+子カテゴリ13件)
- カスタムフィールドは受注企業側に従業員数・取引実績・保有資格など、提案側に対応可能エリア・NDA対応・最小受注規模などを設定します